めぞん一刻
高橋留美子によるラブコメディ漫画。
「時計坂」という町にある「一刻館」という名の古いアパートの住人・五代裕作と、管理人としてやって来た若い未亡人・音無響子を中心としたラブストーリー。
人よりも苦労を背負い込んでしまう世渡り下手な青年・五代裕作と、生来の鈍感さと亡き夫へ操を立てるがゆえの真面目さを合わせ持つ美貌の管理人・音無響子の織り成す恋愛模様について、周囲を取り巻く常識はずれの面々が住むおんぼろアパート「一刻館」を舞台に、高橋独自のリズミカルでコミカルな展開で小気味良く描かれる。
1980年代の恋愛漫画の金字塔として名高い作品とされる。
「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)誌上において、創刊号である1980年11月号~1987年の19号にかけ全161話が連載されていた。
連載は雑誌の発行ペースに従い月刊から月2回へ、さらに86年4月14日号から週刊へと変わった。
また月刊時代は9回中8回で巻頭カラーを飾る看板連載であった。
作者は「週刊少年サンデー」で「うる星やつら」を連載し、小学館の青年向けと少年向けの各漫画雑誌の看板作家の一人であった。
しかし作者は、双方とも自分の20代の作品だとして同時期に完結させている。
登場人物はそれぞれが際立った個性を持ち合わせている。
「非常識のかたまり」とも言える一刻館の住人をはじめとして、アクの強いキャラクターたちが織り成す奇妙でおかしな行動の数々も、物語の重要な要素である。
住人の苗字には、居住する部屋番号と同じ数字が入っている。
ヒロインの響子の姓は零を意味する「無」を含んでおり、旧姓は千草である。
住人以外の主要登場人物の三鷹瞬、七尾こずえ、八神いぶき、九条明日菜にも苗字に数字が入っている。
際立った個性をもつ典型的なキャラクターを使い、回話ごとにキャラクターを軸に物語を展開させる手法はコメディの正統にあり、主要登場人物のキャラクターの系譜は他の高橋作品にもしばしば登場している。
『うる星やつら』に続く、高橋留美子原作による漫画作品のアニメ化。
1986年(昭和61年)3月26日から1988年(昭和63年)3月2日まで96回にわたり、30分作品のアニメとして フジテレビをキー局として放映された。
制作はキティ・フィルム。
『うる星やつら』での次回予告枠で、新番組として告知された際のキャッチフレーズは「坂の途中に愛がある」。
ヒロインの音無響子の性格が原作とアニメでは多少異なる。
原作では基本的には清楚であるがその反面、五代裕作にヤキモチを焼いて意地が悪かったり嫌味な言動をする。
初期はほぼ原作通りであったがアニメ中期以降ではさらに清楚・おしとやか・母性的なキャラクターになっており、言動もそれにともなって変更されていることが多い。
第24話のオープニングで実写劇場版の公開に合わせ、テーマ曲であるギルバート・オサリバンの楽曲『Alone Again』(エンディングは同じ歌手で『Get Down』)が使用されたが、このオープニングは諸般の事情で1回きりの放送となった。
続く第25話では以前のオープニングに戻された。 これについては、番組の広報担当者が当時のアニメ雑誌上で「曲の権利関係の調整が不十分だった」と、著作権上の問題であったと弁明している。
しかしアニメ誌以外では事情説明がなかったため、情報が伝わらなかった。
1991年、OVA『番外編 一刻島ナンパ始末記』が発売された。
『めぞん一刻 完結篇』のタイトルで1988年に映画化。
作画、キャラクターデザインが意図的に劇画調のタッチとなっている。
「完結篇」と銘打ってはいるが、テレビアニメ版で五代と八神の関係の決着がはっきり描かれなかったこと以外は完全な結末を迎えているため、原作やアニメで触れられなかった、五代と八神の関係、そして響子と八神の対決がどう決着したかにスポットを当てた番外編、外伝的な作品に仕上がっている。
同時上映である『うる星やつら 完結篇』の方が話題性が高く、本作はむしろおまけ的な役割であった。
一刻館での一晩の出来事がほぼリアルタイムで進行し、テレビアニメ版では登場しなかった二階堂望(声:堀川亮)も登場している。
ボードゲームの『めぞん一刻~恋のルーレット』『めぞん一刻~一刻館の昼と夜』いずれも1980年代中頃にツクダホビーより発売。
アーケードゲームの三国志大戦Ver3.59にて、音無響子がモデルであるEX大喬が登場。
通り名は「魂の管理人」、計略名も「会えてよかった」など、原作を意識した内容になっている。
めぞん一刻 DVD-BOXが2005年6月29日に発売。
TVシリーズ めぞん一刻 Blu-ray BOXが2013年12月25日に発売。
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